知識集

  • スタッフ教育2016.02.05

    こんにちは!

    コンサリスタ・アドバイザーの後藤です。

    ネイリストではないオーナー様の場合、サロン経営をしていく中で少なからず出てくる問題があります。
    それは、オーナー様たち運営側とスタッフたち現場とのコミュニケーション不足からくる摩擦です。
    今回は、ある顧問先のネイルサロンで体験した状況を例にとって、オーナー様とスタッフたちの信頼関係の難しさと大切さのお話しをしていきます。

    現場とのコミュニケーションは取れていますか?

    何となく、現場とのコミュニケーションが取れていないかも…。

    今そう思いながらもその問題を放置していると、気がついたらもうスタッフたちとのコミュニケーションを円滑に取れる状態ではなくなってしまう場合が多いので注意して下さい。
    なぜ、そうなったのか?
    何となくでも理由が解っているオーナー様、全く見当もつかないというオーナー様もいますが、その状態からサロンを良くしていこうとなると、かなりの時間が必要であるということはもちろん、修復しようとするためのコミュニケーションの方法を間違えるとさらに溝が深まり修復不可能になってしまうこともあるのです。

    某ネイルサロンのオーナー様から、スタッフとのコミュニケーションが取れずに、現場にコントロールされてしまっているとのご相談を頂いたときのことですが、スタッフたちと現状のヒアリングを行っても現場のことが全く解らないということで、売り上げもなかなか黒字にならないのでどうにかしたい…でもどうしたらいいのかも解らないとのことでした。

    オーナーから送られた“敵”が来たぞ!!

    サロンの状況を説明されて、その状態から現場をまとめるには相当の時間と回数を要することをご理解頂いた上で、顧問アドバイザーとして入ることになりました。

    ですが、最初のうちはスタッフたち現場からすれば、
    「オーナー側から送られてきた“敵”が現場に入り込んできたぞ!」←(その後、笑い話として実際にスタッフたちから当時はこう思われていたと言われました^^;)
    という感じで、初めは誰も目を合わせてくれず、挨拶しても無視状態だったのです…(涙)

    このサロンを良くしていきましょう、と言ったところで、協力してくれる気がないのは明らかでした。
    ですが、こうなったのには必ず原因があるわけで、理由は何にしろ確実にオーナーたち運営側に不満を抱いているのです。
    このような場合、かなり根が深い状況なので、まずはスタッフたちとの信頼関係を築くことから始めないと絶対に心を開いてはくれませんし、基本的に素直に運営側の思いや考えを受け取ってくれることはまずありません。

    病気に例えると、ただの風邪だと思って放っておいたら咳がひどくなり高熱が出だしてしまった…自分で急いで市販の薬を飲んだけど治らない…どうしようと病院に行ったら、即入院になってしまった…という感じでしょうか(汗)

    あれをやって下さい、これも必要なのでお願いします、と言うだけの指導なら簡単ですが、管理者がいる時にのみ面倒だからとりあえずやっておく、では意味がないですし問題の根本的な解決にはならないのです。

    スタッフたちが感じる、経営側への不信感…

    私が現場に入ってから、
    「なぜ、今こんな風になっているのか? 店長としてこのままでいいと思っているのか?」
    その質問に正直に答えてくれたのは、3ヵ月が経った頃でした。

    「サロンのことを考えたらこうした方がいい、と思うことはあるけれど、オーナーが話す時間を作らなかった」

    「今のままではよくないと思ってはいるけれど、そういうことを話す時間を作るのはオーナーがすることで、雇われている立場の私(現場)がすることではなくないですか?」

    「オーナーが現場に来ないから、サロン内で起こっている問題を相談しても“解らない”ばかりで、解決に向けて一緒に考えようとしてくれないから信頼できない」

    「オーナーがこのサロンをどうしていきたいのか? 何を考えているのかを言ってくれないと解らない…」

    大きくまとめるとこれだけに感じますが、日々の小さな不満が積もり積もって、今さら普通に話すことさえ出来なくなった、といっていたのです。
    ひと口にネイリストといっても、実際にはお客様への施術だけではなく、予約管理・ブログの更新・サロン内の掃除・アルミコットンなどの消耗品の補充・在庫管理・発注・新作チップ作成・カルテ整理などの諸々の事務作業も多いですし、それらを効率よくこなしていく必要があります。
    お客様からクレームが出ればその対応もしなくてはなりませんし、ホットペッパービューティーのサロンボードの設定なども行う場合もあるでしょう。

    ネイリストではないオーナーが、スタッフたちが現場でどんな仕事をしているのかを全て細かく把握するのは難しいことかもしれませんし、それとは逆に、サロンにはいないオーナーがサロンのために考えていること、動いていることを現場スタッフたちも把握は出来ないのです。
    アドバイザーという立場上、オーナー様や現場スタッフたち両方からの話しを聞く機会も多いのですが、スタッフと関わってきた時間が極端に少ないオーナー様の場合、スタッフたちから聞こえてくる本音は“不信感”がとっても多いです。

    お互いの信頼関係を築くことが出来ていれば、ちょっと難しいな、大変だな、と思うことでも頑張ることが出来るのが人間です。
    「オーナーのために頑張ろう」
    「スタッフたちのために大変なこともやろう」
    そう思えるような関係であれば、多少の問題は問題ではなくなります。

    “不信感”が膨らんでしまう前に、お互いの考えや思い、これからのビジョンやサロンの目標を話すなどのコミュニケーションを取っていれば、ここまで溝が深くなることはなかったでしょう。

    何のためにサロンをやっているのか解らない…

    もちろん仕事ですから、言ったことを現場できちんとやってくれればそれでいい、としても、常に現場にいてリーダーシップを取って管理することが出来ているなら話は別ですが、すでに現場との温度差がこれだけ出てしまっているネイルサロンの場合は、オーナー様自身も現場のスタッフたちの顔色をうかがって気を使うことが当たり前になってしまい、言いたいことが言えなくなっている状態がとても多いのです。
    その結果、サロンを現場にコントロールされてしまって、“何のために自分のサロンをやっているのかわからない”と本音を話すオーナー様が多くいます。

    問題のネイルサロンでは、現場にコントロールされずにサロンを良くしていくために、私がオーナー様たち運営側とスタッフたち現場の間に入り、月に一度の全体ミーティングを開きました。
    そしてオーナー様や店長と共に、今現場はどうなっているのか? 問題があれば3人で改善策を考えていくようにしました。
    このミーティングは、たとえ時間が短くとも必ず行うようにしたのです。
    ここまで持ってこれたのが5ヵ月目です。

    コミュニケーションを取るようになって出てきた一体感!

    初めのうちはスタッフたちにも戸惑いはあったように見られましたが、運営側と現場との意思の疎通が取れるようになってからは、次第にサロンを良くするために色々なアイデアをミーティングで話してくれるようになりました。
    オーナー様も仕事内容を把握した上で的確な指示を出すことが出来て、その気遣いを現場にいるスタッフたちも感じられるようになると、逆に率先して各自が仕事を振り分けて動いてくれるようになったのです。

    その結果、運営側と現場の一体感が強くなっていきました!!

    もう大丈夫だろうと、顧問契約内容を変えて、サロン訪問はする必要がなくなりました。
    ここまでに1年間を要した仕事でした。

    今では時々、オーナー様と店長の3人で飲みに行くほど、それぞれがとっても良い関係で繋がっています♪
    最初の頃にはとても考えられなかったことですが…(笑)

    「オーナーとしてリーダーシップを取って欲しい」
    「現場でのことは自分たちに任せて貰って、何かあればオーナーにフォローをして欲しい」
    など、極端にいえば、どんな考え・性格の店長(現場リーダー)なのか、そこを把握するだけでも構いません。
    出来ることならば、スタッフたち全員のことを把握するのが理想ではありますが、そうも言ってられない状況が現実だと思います。
    ただし、オーナーとして極力スタッフや現場のことを気にかけて、今どうなっているのかを知ろうとする姿勢だけは必要だと思います。

    様々なネイルサロンにアドバイザーとして訪問しますが、人間関係が上手くいっていない・すでに運営側と現場で温度差があり信頼関係が崩壊しているというような場合は、結果を出すには時間がかかりますし、たとえ各種の研修を行ったとしても研修後にそれが活かされることはまず難しいと思います。
    私が言うのも何ですが、これでは経費の無駄遣いになってしまいます^^;

    それぞれのスタッフたちとコミュニケーションを取り合い、現場にコントロールされずに上手に仕事を振り分ける、これもオーナー様としてとても重要な業務なのです。

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